心の新陳代謝
林 和（はやし やまと）
生活上の困りごとやお悩みの相談をいろいろお聴きしていると、
問題は、ただ現実の状況のみということはまずなくて
基本的にはご自身の心の働きも密接に関わっています。
その代表的なものの一つとして挙げられるのが感情、
特に「感情のコントロール」に類する内容は本当にたくさん出てきますね。
これについては、もちろん様々な考え方があるかとは思います。
ただ、これまで多くのケースに関わってきた経験を踏まえると、私は、
感情って果たしてコントロールできるようなものなのだろうかと、いささか疑問に思います。
感情とは、人の内側から自然に湧いてくるもので、
決してコントロールの対象になるようなものではなくて、
なのにそれに気付かずに無理に抑え込んだりしてコントロールしようとするから、
さらにしんどくなって、余計な弊害も出てしまっているケースがとても多いように感じるんです。
それはさながら、私たちの体でいうところの新陳代謝や生理現象に非常に近いような気がします。
ちょうど連日の話題にもなってるような今の暑さだと、外ならじっとしてても汗が流れ落ちますし、
そこで水分を大量に摂取すると、今度はトイレにも行きたくなるでしょう。
ここで、もし絶対に汗をかきたくない人、絶対にトイレに行きたくない人が居たとして、
何とかして無理やり汗をかくこと、トイレに行くことを抑え込んだとしたら・・・
体内の熱は逃げず、老廃物や毒素も溜まり、体は深刻なダメージを受けることになりますよね。
じゃあ感情も、湧いてくるままに外に出すべきってことなの？
と、いかにもそういう話の流れになりますが・・・
実はこの「外」の認識が、とても重要なポイントになりそうです。
「体の外」は、もう自分以外の誰か、何かです。
一方で「心の外」は、いきなり誰か、何かではなくて、まず「自分」です。
中心に心があって、その周りに自分があって、その外側が自分以外、とイメージしてみてください。
一般に、「感情のコントロール」が難しい、と言われてしまっているような人は、
心から湧いてきた感情が「自分」を素通りしてそのまま外に出て行ってしまっています。
「感情をコントロール」しているように見える人は、心から自然に湧いてきた感情を、
まずは自分でしっかり受け取っています。その上で「行動をコントロール」しているんです。
そして、そういったそれぞれの反応のパターンは、
それぞれの人生の中で一定の時間をかけて身に付けてきたものですから
変えようと思ったからといって一瞬で切り換えられるような都合のいいものではありません。
ただ、もしも「感情（ではなくて実は行動）のコントロール」がうまくできるようになりたい、
と本気で思われている方は、安心してください。
まず第一段階はクリアーできてます。
変える必要があるってことに気付けてる、ということは、
後からでもふさわしい行動は何かが、ちゃんと判断できてるってことですから。
あとは、時間はかかるかもしれませんが、
その判断を必要なタイミングでこなせるようになる反応のパターンを新たに身に付けていくだけです。
とはいえ、具体的な状況は個人によってまったく異なりますから、
ここで一概にそのやり方を説明するには時間と文字数が足りません。
（この記事自体、もうすでにかなり長くなってますし…）
もしも直接ご依頼いただければ、あなたに合ったやり方を一緒に探りながら、
あなたのペースで身に付けていく過程を見守らせていただくことができると思います。
感情は、体の新陳代謝のように状況によって自然に起こり、
それを阻害しないことで、余計なストレスを排出したり、新しい考えを取り入れやすくなったり、
心の中が淀むことなく活性化しやすくさせてくれるものだと思います。
それは心の健康にもつながりますし、ひょっとすると心が若返ることだってあるかもしれません。
そのためには、感情をコントロールしようとするのではなく、
まずは自分自身で感情をしっかり受け止めてあげることを、
そして自分の感情と仲良く付き合っていくことをイメージしてみてくださいね。
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