黄昏【誰そ彼】(くれたけ#259)
今回は、
【2025年9月のお題-2】(くれたけ#259)秋の夜長のおともにおすすめの映画を教えてください
に答えています。
私にとっての映画は、いかにも「娯楽」といった感が強いかもしれません。
幼少期から、金曜ロードショー、ゴールデン洋画劇場、日曜洋画劇場・・・と、
毎週楽しみにしていました。
また、当時は自転車ですぐの距離に温泉を中心とした娯楽施設があって、
その中には映画館も併設されてまして、
街中の映画館で最新の封切り興行が終わった後の作品が
3~4本立ての見放題って感じで上映されてたりして、
よく家族や友だちと行ったりもしてましたね。
今じゃ、ちょっと考えられない感じ。懐かしいですね~。
そんな感じで映画を観てきたもんですから、ジャンルなんかも関係なく、
どんな作品でもワクワクしながら楽しんできたって感じなんです。
なので、おすすめを挙げるとなると選びきれないんですが、
その中でも好みというなら、クリストファー・ノーラン監督のSF系でしょうか。
『TENET』『インターステラー』・・・
もともとがSF好きなんですが、
この監督の作品はとにかく設定が凝り過ぎてて、
1回観ただけじゃ理解しきれないところがあったり、
いわゆる伏線みたいなものが、至る所に散りばめてあったり、
そういうところを考察する余地がたっぷりあったりするのも好きなのかもしれません。
こだわり過ぎてて1作品あたりの収録時間が長いのも、秋の夜長におすすめです。
で、それらとは別に、この1本・・・としてご紹介するなら、
また全く異なる趣の、かなり古い作品、
『黄昏』です。
公開は1981年ですね。
最初に観たのは、中学生くらいだったかな、それこそテレビの洋画劇場でしたが、
なぜか未だに、ものすごくハッキリと印象に残ってるんですよ。
何といっても、夕陽を受けた湖面がきらきらと黄金色に輝く情景。
(何せ、この映画の原題は『On Golden Pond(黄金の池で)』ですから、この映画そのもの、ともいえるシーンです)
この映画は、アメリカのとある湖のほとりにある別荘を舞台にしてまして、
ほとんどの場面がその周囲だけで展開していきます。
ですので、同様の輝く湖面を含んだ情景が繰り返し出てくるのですが、
まず単純に、その美しさに感動したのを覚えてます。
それ以来、現実で同じような景色を見る度に、この作品の、その情景と重なるんです。
そしてまた、その美しい黄昏のシーンは、人生の「黄昏」の象徴でもあるんです。
この作品の主人公といえるのは年老いた男性。
心身ともに衰えを感じ、変に気難しく、
家族を含めて誰との間にも自ら溝を作るような態度しか取れないでいる。
そんな彼の心が、家族との関わりが、
自然豊かな湖畔の別荘で娘家族と過ごすひと時を通じて
どう変化していくのか、というのが見どころなんですが、
見てみたくなった方のために、あまり詳しくは書かないでおきます。
ただ、見終わった私には、その黄昏のシーンがただ美しいだけではなくて、
切なさや、もの悲しさ、恐れみたいなもの、
と同時に、温かさや、優しさ、愛おしさのようなもの
といった、人の抱く様々な思いさえ内包した、
とても静かで尊いものに感じられるんです。
だからこそ、そういった感情とも相まって、
なおさら強い印象が刻まれているのかもしれません。
そして、その印象的な美しい情景に魅せられつつも、
人生や家族について改めて考えさせられる
不朽の名作の一つではないかと思います。
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