一生かけて大切にするもの
林 和（はやし やまと）
【2024年9月のお題-1】（くれたけ＃234）生き方に関する悩み「進路をどうする」「人生を見つめ直したい」等で心理相談に来られた方に、どのように対応しますか？
生きてると何かしらの「問題」に直面するものですよね。
そんな時、人は、その問題の困難さの程度だったり
個人の身につけている行動パターンだったりによって
様々な反応を示します。
困難を解消する方法を探るかもしれないし
とりあえず正面から困難にぶつかるかもしれないし
逆にとりあえず逃避するかもしれないし
時には身動きが取れなくなることもあるかもしれませんね。
そんな中でまた
これまでの人生を振り返ったり
自分自身に少し向き合ってみたりして
改めて人生や生き方について考え始めることも、
少なからずあるでしょう。
そういったご相談においては、
基本的には対話を重ねる中で少しずつ
ご自身なりの行くべき道を見出されていく、
ということが多いように感じます。
それでも、
どうやっても先が見通せないほどに迷い込まれている場合、
有効かもしれないアプローチとして、
私がカウンセリングをする上で、ベースとして大事にしている考えの一つでもある
ACT(Acceptance and Commitment Therapy) というものがあります。
これは行動理論に基づいた認知行動療法の一種で、
その目指すところをひと言で表すなら
『避けられない痛みは受け容れながら、有意義で豊かな人生を切り拓くこと』
ということになります。
もう少し分かりやすく言えば、
人生で様々な困難な出来事に出会うと自然と心の中に何かしら不快な状態が生まれますが、
その不快な状態にもちゃんと居場所を与えてあげて適度な距離を保つことで、
不快な状態に囚われ過ぎて必要以上に戦って消耗するばかりだったエネルギーを、
本当に『こうありたいと思う自分』に寄り添った行動や、そこに近づくための行動に、
有意義に使えるようになっていくことを目指します。
この中の『こうありたいと思う自分』の部分が
特に生き方に直結するところだと思いますし、
それを見つめるプロセスも、もちろんACTの中にちゃんとあります。
ですので、カウンセリングを通して
単なるゴールではなくて、一生の間あなたを導いてくれる大切なものとしての
『こうありたいと思う自分』をご一緒に見出していくこともできますし、
それがはっきりしてくるにつれて、
それに沿って行動するための「活力」のようなものが
身体の内から湧いてくるのを感じられるようになることと思いますよ。
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